山と氷河と真夏のクリスマス | さぁ~て、中南米で何しよかいのぉ~。

山と氷河と真夏のクリスマス

去る2005年12月24日。

朝一番のバスでパイネ国立公園を目指した。

パイネ国立公園にはパイネグランデ(でっかいパイネ)やトーレスデルパイネ(パイネの塔)などパタゴニア、南米大陸の爪、角、牙とでもいうような氷河で削られた山々と多くの氷河があり、その中でトレッキングが楽しめるようになっている。

だいたい大阪府ぐらいの大きさの国立公園でそのまんなかにデーンと山が腰を降ろしている。

その真ん中の山をぐるっと回るサークルと、南側のいくつかのキャンプ場を基点に『山』の字のように山を攻めるWという二つのトレッキングルートが主に整備されている。

僕は個人でテントから食料までを担いでWに挑戦した。


一日目は『山』の字の右下部分にキャンプをはり右上にあるトーレスデルパイネへ。

テント、寝袋、マット、食料を全部おいていったので、さくさく足が進む。

ズドーンと広い空とドカーンと態度のでかいパイネの山。

これを見ながら歩くのは限りなく気持ちがいい。

サンチャゴで出会った愛すべきダメ親父であり、登山家でもある人から、山は歩くもんじゃない、走るもんやと教えられ、なんにでも影響されやすいワタクシ、ほんとに走りましたよ。

マップでは四時間のところを二時間半で登りきった。

最後の崖を上りきると…

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ズドーンと青い空に向かって喧嘩を売るようなトーレスデルパイネが目の前に現れた。

塔というより、はっきりいって壁が三枚並んでる感じ。

こんな山を登る人がいるってんだから、人間てのもなかなかやるもんだね、ほんと。

一時間もしないうちに天候が崩れてきたので、キャンプに戻る。

そういや、その日はクリスマスイブ…

特製の…

インスタントメンwith わかめちゃんがイブのディナーです。

悪かぁない、悪かぁない、悪かぁない…

12月25日

翌日も晴天!

この日はテントを担いで『山』の底辺の部分を右から真ん中へテントを持って移動。

このテントを持ってっていうのが味噌ね。

テント、寝袋、マット、食料から全部一人で担ぐわけやからこりゃまた重い。

二十キロはあったんじゃないかと自分では、あくまで自分では思ってます。

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その荷物を担いで17キロの山道を歩く。

昨日の勢いはどこへやら、バテバテで何とか這いずるように次のキャンプサイトに到着。

腹減り減り腹でわかめちゃんの炊き込みご飯とやっぱりインスタントラーメンを食ってドロかヘドロのように寝る。

あ、この日クリスマスね。

この日クリスマスを感じたのは欧米人トレッカーの女の子がサンタのコスプレでメリークリスマス!!とか言ってたぐらいやろか。

12月26日

翌朝は天候が優れない。

そして体調も優れない。

しかし、ここで予定を変えると食料の問題が出てくる。

やるときはやる男、一気にパイネグランデを綺麗に眺めることができる『山』の字の中央上の部分へ。

途中のミラドール(展望台)あたりで本格的に雨が降り出す。

しかし、まだ上がある。

ここはかまわず前進あるのみでした。

そんな勇敢というか無謀な男を哀れんでか、雲は一時間ほどで一気に晴れ、太陽がまぶしく輝いていた。

しかし、上っても上っても頂上らしきものが見つからない。

地図上ではとっくにルートが消えている。

しかし、道らしきものが残っているので、行かざるを得ない。

すると、氷河になり損ねた雪(?)がたまっているところに出た。

一昨日みたトーレスデルパイネを裏から望む方になっていた。

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時間的に限界を感じ、下山。

そろそろスニーカーでは下りがきつくなってきた。

すばやくテントを畳み、『山』の字の左下部分のキャンプサイトへ。

この日は結局22キロ近く歩いたことになる。

体力的にはあと一日なんとか持ちそうだった。

12月27日

この日も天気は優れない。

しかし、昨日のことがあるので、かまわず『山』の字の左上にあるグレイ氷河まで歩く。

グレイ氷河は曇っていて、いまいち綺麗ではなかった。

まあ、今まで三日間が天気に恵まれただけ文句は言えない。

paine4

ちなみに氷河は遠くから見ると真っ白だが、こんな氷の塊。

キャンプ場までの岐路、そろそろ左膝が痛み出した。

でも、明日は帰るだけなので、そこまで深刻なもんでもなかった。

最終日はやっぱりインスタントラーメンと特製ツナ缶炊き込みご飯。

12月28日

朝なぜか五時に目が覚める。

テントを出るとキャンプサイトの目の前の湖が真っ赤に染まっていた。

最後の日にパイネが見送ってくれてるんやろかと、湖畔で物思いにふける。

突然便意を催し、トイレへダッシュ。

前も言ったように、そのままカメラを便器の中へダンク。

朝一番の船でバス停まで帰るので、ろくに落ち込んでる暇もなくテントを片付け、船に乗り込んだ。

カメラは動かない…

バスの時間までパイネの全景を眺める丘や、大きな滝を見たが、心そこにあらず。

とにかく、カメラのことが心配だった。

最終日にこれかと、もう必要以上に落ち込んでいた。

しかし、町に戻ってみるとフラッシュなしで撮影ができた。

データも消えていない。

ほんと一人で狂喜乱舞しましたよ。

結局、五日間のうち四日間は天気に恵まれ、そのなかで最高にトレッキングを楽しむことができた。

カメラの件も運がよかったとしかいえない。

最高の五日間だった。

ダラダラと書いてしまってすいません。

なんせ、今の宿がネット使い放題なもんで。

へっへっへ!!今日は徹夜だわ。

しかし、明日1/8に、とうとう世界最南端の町ウシュアイアへ。

よしよし、きたぞ、きたぞ~!!