思えば遠くに来たもんだ。
とうとうやって来た、南米大陸、また世界最南端の町であるアルゼンチンのウシュアイア。
四月にメキシコから始まり約九ヶ月。
野を越え山を越え海を越え、長く険しく楽しい旅だった。
さすがに到着したときはそれなりの達成感みたいなものを感じることができた。
とはいっても、ここウシュアイアからはビーグル水道を挟んでチリ領であるなんとかという島を南に望むことができる。
そう、あくまで最南端の町ということ。
なので、ヨーロッパ、ユーラシア大陸の最南端であるロカ岬の断崖絶壁で一つのでっかい大陸の果てに来たというような実感はここでは実際感じることができない。
とりあえず、南米大陸を南北に走る道の終わりにはいってみようと思う。
目下の目標地であったここ最南端の町についたということで、病気にかかってしまった。
末期のボンヤリ症候群である。
なんだか動くのがめんどくせーのよ。
パタゴニアで体を苛めるように動いて来たので、もう動きたくないわけ。
しかも、今ウシュアイアは一年の中でも最シーズン期で、水陸空の交通手段が完全パンク状態。
この町を脱出する飛行機は一月中はいっぱい。
バスでさえ一週間先まで予約はいっぱいという状況。
なんだか憂鬱。
まあこの軽い監禁状態を楽しんでいる感もある。
目下の目標を、最南端スタンプ集めと最南端脱出計画を練ることに絞りながら、のんびりのほほんと旅の疲れを癒したいと思う。